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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第9章 勝重からのプレゼント

良夫は、プレートを男性の方へとよせ、

「見ず知らずの人から奢ってもらうんは、なんかキモいわ……おたくが食べなはれ」

「いやぁ、俺はさっき食ったからさ。トレイを戻そうとしたら、偶然あなたが入ってきたので、少し話をしようと思ってね。まあ、コーヒーが二つあるんで、一つは僕が飲みますよ。これは相席代として」

男性はプレートを良夫の前に押した。

「いや、ちょっと待って。あんたは誰?
俺のこと知ってんの? 」

良夫が聞くと、男性は携帯電話を出し、ある画像を出して、その画面を突き出した。

「これでしょ」

そこには、お面をつけた良夫と、清掃ロボットクリーーーンが向かい合っている様子が映し出されていた。

良夫は、老眼がはじまったため目を細める。

「え……て、ことは、あんたも記者?」

「記者じゃないけど、この記事を書いた女性は知ってる」

「そうなんや……てか、どういった御用で……」

「ああ、自己紹介しなきゃな……格闘家の山田二郎です」

良夫の目の前にいる男は、二郎だった。

「あ、そうですか、どうも……田中です」

山田二郎と言う名前は、すでに電話で、夕子から聞いているはずだが、意識はプラモデルに向いていたため、晩に会ってほしいという話もすっかり忘れていた。

二郎は、コーヒーを口にすると、携帯画面の良夫の姿を示し、

「なぜ、お面をつけてるんですか?」と聞いた。

良夫はシフォンケーキの包装をめくりながら、

「呪い」とだけ言った。

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