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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第9章 勝重からのプレゼント

「のろい?」

「あのお面は、呪われてんだよ。ことあるごとに顔にピッタリ貼り付いてくる」と良夫は自分の顔を指差した。

「あ、そっちの呪いね……また、なんで亀の話するんだろって思いましたよ」

「いや、おかしいっしょ。自己紹介とお面の話から、突然亀の話題って……亀の話を進めるための引き出しは持ってないで」

「まあ、でも亀って意外と足速いっすよ。河原で日なたぼっこしてる亀に近寄ったら、バババッて動いて水の中逃げますもん」

「いや、亀の話はいいよ。それ言われても、へぇ~としか出ないから」

「おなら出そうなんですか?」

「屁しか出ないとか言ってないから……なに、大阪人がツッコむかどうかを試してんの?」

「いや、そうじゃなくて、聞き間違いですよ。関東と関西じゃ言葉のイントネーション難しいっすね。まあ、よかったらこれ食べてくださいよ」

良夫は、トーストを見つめると軽く喉を鳴らす。

「あんたは食べないの?」

「僕は食べましたよ」

「ここのモーニングはどう?」

「いえ、僕は朝のミックスサンドのセットを食べましたから」

ミックスサンドのセットは、1800円だ。トーストのモーニングセットよりも高い。

良夫は心の中で、ミックスサンドが食べたかったと呟いた。

二郎は、コーヒーカップに口をつけると、薄い湯気を吐きながら聞いた。

「お面がつくのが呪いって言いましたが、なぜ犯罪と向かい合っているんですか?」

「それも呪い」と言って、良夫はシフォンケーキを食べはじめた。

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