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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第9章 勝重からのプレゼント

二郎はフフッと笑う。

「呪いって、田中さんが呪われてるんですか?」

「え!? なんで名前知ってんだよ?」

「さっき言ってたじゃないですか。まさか、それも呪いですか?」

「多方面からいろんな呪いかけられてるもんで……てか、お兄さん面白いね」

「田中さんほどじゃないですよ」

話をはぐらかされ、二郎はなかなか話のペースにのれなかった。

そこで、今晩の予定をさり気なく聞いてみた。

「そうだ、今晩は予定あるんすか?」

良夫は、セットのオムレツをフォークで突きながら、

「今晩? 本当は予定あったんだけど、知り合いの記者の子に、会ってほしい人がいるって言われて、なんかその人に……て、きみか!!」

ようやく、目の前にいる男が、その話の人物だとわかった。

「やっとわかってくれましたか」

「あ、そうですか、それはそれは、はじめまして、田中良夫と申します」

「いや、もう10分ほど顔を合わせてますよ。今はたまたま会って、ご挨拶させていただいたんですが、あの、鈴木夕子さんから聞いてないですか?」

「え? あ、うん……まあ、聞いたかな?」

「今晩ゆっくりとお話をさせていただきたいんですよ。よろしいですか?」

良夫は、その返答に迷っていた。本当は嫌だといいたい。だが、相手は格闘家だ。断ったら、後頭部にでも蹴りを入れられるかもしれないと。

もちろん、二郎はそんなことは粒子ほども思ってはいないのだが、良夫の格闘家のイメージは、否定したらなにをするかわからないといった、まったく勘違いな思い込みだった。

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