
お面ウォーカー(大人ノベル版)
第10章 山田二郎
見ると、床には裏返ったお面があった。
何気に、それを手に取ると、見事な色彩に、思わず見入ってしまった。
「すごいお面だなぁ……色といいバランスといい、どこの国のお面なんだろ」
偶然にも、油絵や彫刻が趣味だった男性は、お面の造形に興味津々であった。だが、この後更に、彼の本当の力が発揮されることとなる。
なにやら、足元がコソコソとするのに気がついた。
ふと下に目をやると、そこには小さなハツカネズミ。
「ひっ!」
女性のような声を出したかと思うと、表情が真っ青となった。
体のわりには、ネズミが大嫌いなのだ。
男性は、驚きのあまり、声にならない悲鳴を上げ、お面を窓から投げ出してしまった。しかも男性は、大学時代に陸上競技で円盤投げをやっていたため、競技用の円盤より軽いお面は、回転しながら闇夜に消えていった。
徐々に飛距離が落ちてきたお面は、失速しながら落ちていく。
そして、その存在に気付いた者がいた。
落ちていくお面を追いかけるように、走る獣の姿。
それは、元麻薬捜査犬のリックだった。
リックは、フリスビーをとらえるかのように、ジャンプキャッチ。
リックは、加えたお面の感触と匂いで、良夫のお面であることに気付くと、またたく間にその匂いの場所を感じとった。
ほんのわずかな微塵の量の麻薬の人間を感じとってきたリックにとっては、独特なおっさん臭を発生させる良夫の匂いなんて、画用紙の上に置いたミカンを取る以上に簡単なことであった。
何気に、それを手に取ると、見事な色彩に、思わず見入ってしまった。
「すごいお面だなぁ……色といいバランスといい、どこの国のお面なんだろ」
偶然にも、油絵や彫刻が趣味だった男性は、お面の造形に興味津々であった。だが、この後更に、彼の本当の力が発揮されることとなる。
なにやら、足元がコソコソとするのに気がついた。
ふと下に目をやると、そこには小さなハツカネズミ。
「ひっ!」
女性のような声を出したかと思うと、表情が真っ青となった。
体のわりには、ネズミが大嫌いなのだ。
男性は、驚きのあまり、声にならない悲鳴を上げ、お面を窓から投げ出してしまった。しかも男性は、大学時代に陸上競技で円盤投げをやっていたため、競技用の円盤より軽いお面は、回転しながら闇夜に消えていった。
徐々に飛距離が落ちてきたお面は、失速しながら落ちていく。
そして、その存在に気付いた者がいた。
落ちていくお面を追いかけるように、走る獣の姿。
それは、元麻薬捜査犬のリックだった。
リックは、フリスビーをとらえるかのように、ジャンプキャッチ。
リックは、加えたお面の感触と匂いで、良夫のお面であることに気付くと、またたく間にその匂いの場所を感じとった。
ほんのわずかな微塵の量の麻薬の人間を感じとってきたリックにとっては、独特なおっさん臭を発生させる良夫の匂いなんて、画用紙の上に置いたミカンを取る以上に簡単なことであった。
