
お面ウォーカー(大人ノベル版)
第10章 山田二郎
そして、とある雑居ビルが並ぶ地域にたどり着いたのち、ビルとビルの間から、たまたまトイレ中の良夫の匂いを、開いている窓から感じ取り、お面をくわえたまま後ろ足で跳ねていた。小便をしていた良夫が気が付いて今に至る。
まさか、ここでお面を手にすることになるとは……。
良夫はため息をつきながら、付き添いの店員と共に店に戻る。
中に入ると、先ほどとは違い、二郎がやたらと険しい表情を浮かべている。
ピンと張り詰めた空気が漂う中、良夫は席に戻る。
BARに初めて来た良夫は、この雰囲気がBARなのかと、今日を最後に二度と行くまいと決意した。
すると、二郎が声を低くして言った。
「田中さん……どうやらここの店では、面倒なことになりそうですよ」
「え?」
良夫は、柿ピーを鷲掴みにしたまま、動きを止める。
「ここはダメかも知れない。別のとこ行きましょう」と二郎が言う。
良夫は背伸びをしながら、さり気なく周りを見る。
いま、気が付いた。
(え? いつの間にか男性が五人に増え、皆さん怖いオーラを放ってらっしゃる。え、まさか、ひょっとして?)
顔は普通を装おっているが、良夫は心の中でジットリと、汗をかいていた。
二郎は立ち上がって、
「悪い、ちょっと用が出来て今から出なきゃならない。勘定頼む」と一番気が荒そうな、体の大きい黒いスーツの男にそう言った。
黒いスーツの男は、鼻をフンと鳴らすと、「お会計ですか。少々お待ちを」と言って店長の男に、なにやら合図を送っていた。
まさか、ここでお面を手にすることになるとは……。
良夫はため息をつきながら、付き添いの店員と共に店に戻る。
中に入ると、先ほどとは違い、二郎がやたらと険しい表情を浮かべている。
ピンと張り詰めた空気が漂う中、良夫は席に戻る。
BARに初めて来た良夫は、この雰囲気がBARなのかと、今日を最後に二度と行くまいと決意した。
すると、二郎が声を低くして言った。
「田中さん……どうやらここの店では、面倒なことになりそうですよ」
「え?」
良夫は、柿ピーを鷲掴みにしたまま、動きを止める。
「ここはダメかも知れない。別のとこ行きましょう」と二郎が言う。
良夫は背伸びをしながら、さり気なく周りを見る。
いま、気が付いた。
(え? いつの間にか男性が五人に増え、皆さん怖いオーラを放ってらっしゃる。え、まさか、ひょっとして?)
顔は普通を装おっているが、良夫は心の中でジットリと、汗をかいていた。
二郎は立ち上がって、
「悪い、ちょっと用が出来て今から出なきゃならない。勘定頼む」と一番気が荒そうな、体の大きい黒いスーツの男にそう言った。
黒いスーツの男は、鼻をフンと鳴らすと、「お会計ですか。少々お待ちを」と言って店長の男に、なにやら合図を送っていた。
