
お面ウォーカー(大人ノベル版)
第10章 山田二郎
少し前まで冷静だった田原が、険しい表情を見せる。
二郎は笑った。
「それを聞いてどうする?」
「話の内容にもよりますなぁ。わしら、肩身が狭い言うても、暴力団という看板背負って生きてまんのや。たとえあんたが、格闘技のチャンピオンや言うたかて、容赦はしまへんで」
明らかに、口調も威圧的になってきた。
二郎は、鼻で笑った。
「そいつねぇ、拳一発で子羊のようになりましたよ。ただ……俺より怖い男の話ですがね」
田原の後ろの若い三人が一斉に、二郎の前に立った。
「お前ら、待たんか」と田原が制止する。
「しかし親っさん、こいつ、俺らのこと舐めきってまっせ」
「落ちつけ。いまここでやり合うても、お前らでは勝てんわい」
田原は、三人に下がれと命じる。
「わしら、堅気の者相手にそう簡単に手を出すわけにはいきまへんのや。あんたが、なにを嗅ぎ回っているんかは知りまへんが、本間なんとか言う娘は心あたりはない。だから、ここでガチャガチャ言うたかて時間の無駄でっせ」
「まあ、俺もプロ格闘家だから、素人相手に手を出すわけにはいかない。ただ、俺の代わりになってくれてる男が、幹部とやらに力づくで聞いたってことだからな、悪く思うな」
「なるほど……兄さんは聞いただけなんやな。まあ、その男がデタラメ言うてる可能性もあるさかいな」
「ふん、そう受けとるか」
二郎は大きくため息をついた。
その頃、良夫は……、
「なんか上着の中に、引っ掛かっとるがな」
一人、入り口の外で背中を向けて、上着の内側に手を突っ込み、体をくねらせていた。
二郎は笑った。
「それを聞いてどうする?」
「話の内容にもよりますなぁ。わしら、肩身が狭い言うても、暴力団という看板背負って生きてまんのや。たとえあんたが、格闘技のチャンピオンや言うたかて、容赦はしまへんで」
明らかに、口調も威圧的になってきた。
二郎は、鼻で笑った。
「そいつねぇ、拳一発で子羊のようになりましたよ。ただ……俺より怖い男の話ですがね」
田原の後ろの若い三人が一斉に、二郎の前に立った。
「お前ら、待たんか」と田原が制止する。
「しかし親っさん、こいつ、俺らのこと舐めきってまっせ」
「落ちつけ。いまここでやり合うても、お前らでは勝てんわい」
田原は、三人に下がれと命じる。
「わしら、堅気の者相手にそう簡単に手を出すわけにはいきまへんのや。あんたが、なにを嗅ぎ回っているんかは知りまへんが、本間なんとか言う娘は心あたりはない。だから、ここでガチャガチャ言うたかて時間の無駄でっせ」
「まあ、俺もプロ格闘家だから、素人相手に手を出すわけにはいかない。ただ、俺の代わりになってくれてる男が、幹部とやらに力づくで聞いたってことだからな、悪く思うな」
「なるほど……兄さんは聞いただけなんやな。まあ、その男がデタラメ言うてる可能性もあるさかいな」
「ふん、そう受けとるか」
二郎は大きくため息をついた。
その頃、良夫は……、
「なんか上着の中に、引っ掛かっとるがな」
一人、入り口の外で背中を向けて、上着の内側に手を突っ込み、体をくねらせていた。
