
お面ウォーカー(大人ノベル版)
第10章 山田二郎
すると三島くんが、「そ、それよりあんた、早くここから出た方がいいっすよ。上で人が撃たれて、いま、火災みたいなん起こってるし」と天井を指差し、良夫の肩を押して言った。
良夫は、なにっと言わんばかりに三島くんの顔を見て、「ちょ、それ何階?」
「三階です」
「よし、わかった。行ってきます」と良夫はエレベーターに乗り込んだ。
「いやいや、違うやん! 大変や言うてますやん」
「その大変な事態に、いま用があんねん」と良夫はエレベーターの扉を閉めた。
「えええぇーっ! 止めたのにぃ……」とまごつく三島くんに、漠間が、
「いや、三島くん、止めるのは他にあるだろ」と出入り口を指差す。
「えっ?」
漠間が示す先を見ると、組長の田原がいま、車に乗り込もうとしている時だった。
「三島くん、あの車を止めて、組長さんから修理代をもらわんといかん」
「あ、ちょっと、待って、止まってぇー!」
エレベーターは、三階で止まった。
「失礼しまーす」と良夫がエレベーターから出ると、右側にある開いた扉から煙が出ている。
「あそこかな」
良夫か向かうと、中から白い布を被った人物が一人のマスク姿の女性を連れて出てきた。
「うわっ!」
仰け反りながら驚く良夫に、白い布の男は、「あ、田中さんじゃないか」
その声は、二郎だった。
「えっ、山田二郎さん?」
「そうです。煙を吸ったらヤバいからこれしてんすよ。さぁ、早くここを出よう」
「え、なにがあったん?」
「話は後で、もう、ここは終わりだ」
そう言うと、二郎はエレベーターの扉を開け、女性と一緒に乗り込んだ。
良夫も一緒に乗ろうとすると、突然後ろから「待たんかい!」と大柄の黒いワイシャツの男が、良夫の上着の襟元を掴んだ。
「わわわわ、なに!?」
良夫は、なにっと言わんばかりに三島くんの顔を見て、「ちょ、それ何階?」
「三階です」
「よし、わかった。行ってきます」と良夫はエレベーターに乗り込んだ。
「いやいや、違うやん! 大変や言うてますやん」
「その大変な事態に、いま用があんねん」と良夫はエレベーターの扉を閉めた。
「えええぇーっ! 止めたのにぃ……」とまごつく三島くんに、漠間が、
「いや、三島くん、止めるのは他にあるだろ」と出入り口を指差す。
「えっ?」
漠間が示す先を見ると、組長の田原がいま、車に乗り込もうとしている時だった。
「三島くん、あの車を止めて、組長さんから修理代をもらわんといかん」
「あ、ちょっと、待って、止まってぇー!」
エレベーターは、三階で止まった。
「失礼しまーす」と良夫がエレベーターから出ると、右側にある開いた扉から煙が出ている。
「あそこかな」
良夫か向かうと、中から白い布を被った人物が一人のマスク姿の女性を連れて出てきた。
「うわっ!」
仰け反りながら驚く良夫に、白い布の男は、「あ、田中さんじゃないか」
その声は、二郎だった。
「えっ、山田二郎さん?」
「そうです。煙を吸ったらヤバいからこれしてんすよ。さぁ、早くここを出よう」
「え、なにがあったん?」
「話は後で、もう、ここは終わりだ」
そう言うと、二郎はエレベーターの扉を開け、女性と一緒に乗り込んだ。
良夫も一緒に乗ろうとすると、突然後ろから「待たんかい!」と大柄の黒いワイシャツの男が、良夫の上着の襟元を掴んだ。
「わわわわ、なに!?」
