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不埒に淫らで背徳な恋

第1章 【心の歪み、気付いてる?】





「その気になったら部長に引き継ぎ始めますね?けど残念ながら今は新入社員も居ることだしその気は更々ありません、私まだ仕事に燃えてるんで」





こうして安心させてるけどいつかは私も子供が欲しくなったりするのだろうか?
稜ちゃんにゴムは着けなくていいって言う日が来る…?
いいや、ないない。
私にはそんな覚悟、まだ持てない。





席に戻るとやたら視線を感じる。
しかも皆から。




「え、何…?何かあった…?」




思わず聞いてしまうほどの空気。
後輩ちゃんことみなみちゃんが泣きそうな顔で訴えてきた。




「さっき部長と話してるの少し聞こえちゃいました……産休がどうのこうのって、チーフついにデキちゃったんですか!?」




ちょ、ちょい待てーぃ!!
皆次々と立ち上がっておめでとうございますって勘違いしすぎ…!!
ガハハ…!と部長が笑ってる。




「違う違う!それは部長が心配して言ってくださっただけ。実際はそうじゃないから」




「じゃあ、引き継ぎはまだしませんよね?私たちまだチーフの下で働けるんですよね?」




「え、えっと……うん」




「やったー!」




え、ちょっと待って……
これはこれで嬉し過ぎるんだけど?
こんな展開、予想も出来なかった。
ヤバっ……涙腺が。




「はい、この話はおしまい!仕事取り掛かって」




「はーい!」




どさくさに紛れて隣の資料室へと身を隠す。
窓際に立って顔を上げるけど溢れてこぼれ落ちた。




やめてよ……仕事中に泣かせないで。
厳しく楽しく…をモットーにやって来た想いが報われたよ。
こんなに必要とされてるのが心地良い。
今はちょっとだけ浸らせて……




ガサッと後ろから音がして身体が反応する。
え、誰か居たの!?
見られてたら恥ずかしい…!
思わず振り返ったら新入社員の佐野くんだった。




「あ…すみません、ずっとここに居ました」




「え、あ…そうだったの?ごめんね、邪魔しちゃって」




居るの知らないで入って来ちゃったのか。
行こうとしたら腕を掴まれた。




「僕が出て行きます…!チーフはもう少しここに居てください」




「え……?」








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