不埒に淫らで背徳な恋
第5章 【贖罪することが救いなのでしょうか?】
「知らないとでも思った…?私に隠れてコンドームに穴開けてるし私の下着全部チェックしてた……携帯だって私が寝静まってから指紋認証させて見てたでしょ?さすがにGPSは切らせてもらったけど」
もしかしたら私の知らないところで何かが動いているのかも知れない。
「何言ってんの?そうさせたのはお前だろ?」
背筋が凍りついた。
一瞬にして顔つきが変わった。
口調も……お前なんて絶対に言わなかったのに。
「全部お前がそうさせたんだ」
目の前に居るのは誰……?
完全に私の知らない稜ちゃんだ。
「言っただろ?お前には家庭に入ってほしいって……すぐに子ども作りたかったのにお前を尊重してたらこのザマだよ」
「え…?何言ってるの…?」
「GPS気付いたのは偉かったな?あともう少しで不倫してるか調べられたのに」
「そっか……私、ずっと疑われてたんだね?稜ちゃんにもお義母さんにも子づくりのことで縛られてストレスだったのにその上不倫してるんじゃないかってふざけるのも大概にしてよ」
しらを切るのよ。
ここは強く出た方がいい。
証拠を出されたわけじゃないから。
GPSに気付くまでは何もしていない。
「良い事教えてあげようか?」
稜ちゃんの一言に表情筋が強張る。
嘘………絶対にバレてないはず。
動揺するな、たかを括れ。
「俺……精子少ないんだってさ」
「え……?」
「ちゃんと定期的に出してないから機能下がっちゃって……でもそれって瑠華のせいでもあるよな?だってセックスしてくれないんだもん、俺がどれだけ我慢してたと思ってるの?出さな過ぎで俺、精子の質落ちちゃったじゃん」
「な、何言って……自分でしてたじゃん」
「へぇ、知ってたんだ?見て見ぬフリ?酷いなぁ、何がストレスだったのに…だよ。俺の方がストレス感じてたよ?」
何を言っても平行線な気がする。
それに早く終わらせないと危険な状態だ。
立ち上がり上着とカバンを手に取る。
「とにかくもう戻らないし後日また離婚届用意するから」
「何度持って来ても同じだよ?俺は絶対に別れない」