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不埒に淫らで背徳な恋

第6章 【守るべきものがある人生は幸福ですか?】





「皆さんこんにちは。東京支社から来ました佐久間瑠香と申します、商品開発兼営業も担当しています、入社8年目です。本日は宜しくお願いします」




各々挨拶を済ませ、予め取っていたアンケートを元に話し合ったり、実際に抱えている問題点を引き出し解決策を出したりと有意義な2時間はあっという間に終わりを告げた。




結構積極的に質問も出ていたし、たくさんの笑顔も見れたしこちらも大満足だ。
成功……と言えるかな。
早くも本社側から第2弾の予定入れられちゃったし。




「お疲れ様でした」と足早に帰る。
用が済んだなら1分1秒たりとも長居したくない。
そそくさと後にしようとしたのに記念撮影をお願いされる。
3人並んでハイ笑顔。




「俺、佐久間さんとだけいいすか?」




だ、誰だ!?
今日参加してた社員さんじゃなさそう…って名札見たら営業課だった。
佐野くんが居る部署だ。
一緒に居たりしないよね?
近くに居たりしないよね?
周り見渡せない。




「笑って笑って〜!」と言われ自撮りでスマホを向けられる。
何でツーショット…?
顔が強張っちゃう。
何枚か撮り終えて礼を言われた。




送ります…と連絡先交換を求められたが丁重にお断りした。
僕も色々と相談したいし…ってそれはあなたの上司にしてください。
私はあなたの上司ではありませんので。





質問があるなら東京支社へ。
電話もメールもあるんだし?
あ、SNSに載せたりしないでくださいね?
私そういうの一切してないんで。
見たりはするけど。




荷物を持ちその場から立ち去る。
ドライだね?と招集メンバーから驚かれたりしたから念の為言っておく。




「もし彼が東京に来て本当に私の部下になったとしたら…そりゃ可愛がりますよ?同じ社内とは言え、一応ライバルなんでそこの線引きはします」




とは言いつつ、次の段階に行けやしないだけ。
離婚して臆病になってるだけ。
恋愛の仕方や順序とか思い出せないだけかも。




今日は泊まりではなくとんぼ返りにして正解だった。
次は飲もうねと約束し、新幹線に乗る。








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