不埒に淫らで背徳な恋
第7章 【愛欲に溺れるのは不修多羅ですか?】
「からかってないです、佐久間マネージャーが可愛いと思ってしそうになりました」
「え……」
こんな時の正しいリアクションも忘れてしまってる。
めちゃくちゃ動揺してて言葉詰まっちゃってるじゃん。
再び近藤くんを抱えて何事もなかったかのように帰って行った。
慌ててドアを開け「気をつけて」と声を掛けたらニッと笑ってこう言うの。
「少しでも頭の中占領させてください」
それって……自分のこと考えて欲しいってこと?
見えなくなるまで見送ってドアを閉めた。
え、え、え!?何これ…!!
ていうか近藤くん本当に寝てた!?
聞かれてたんじゃ…!?
恥ずかしい…!
ダメだ、振り回されるな私っ…!
部屋に戻ると散らかったテーブルの上。
あちこちで寝てる部下たち。
ソファーにもたれてコクリコクリ寝ているのは田中くん。
スーツの上着、シワになっちゃうよ?
仕方なく肩に触れて起こす。
「田中くん、そのまま寝るとシワになっちゃうからハンガーかけとくよ?」
「ん…?」
虚ろな目で私を見た後デレデレ笑う。
うん、聞こえてないよね?
テーブルを片付けながら「脱いで」と言う。
案の定、ボーッと私を見てるだけ。
「田中くん、ボタン外せる?」
缶と瓶を分けてゴミ袋へ。
お皿もシンクに下げてテーブルを拭いていく。
女子たちは後でベットに運ぼう。
雑魚寝で良いよね?
チラッと田中くんに視線を戻すと言われた通りボタンに手を掛けていた。
上手く外せないのか前のめりになり頭が下がってテーブルにぶつけてゴン!と鈍い音が。
慌てて駆け寄る。
「ちょ、田中くん!?大丈夫!?」
「い、痛い〜」
泣きそう……いや、最早泣いている。
ボタンひとつ外せないで頭ぶつけて泣くとか幼稚園児か…!
前髪をあげて額を見ると少し赤くなってる。
冷やそうか?と立ち上がろうとしたらそのまま抱きついてきて危うく共倒れしそうになった。
「た、田中くん…!?」
何なのよ、うちの男子どもは…!
皆こうなのか!?