不埒に淫らで背徳な恋
第9章 【無い物ねだりの先には報復だけでしょうか?】
生理だから…と前回は断った。
でももうそろそろ受け入れてあげなきゃいけないのかな。
私の身体……大丈夫?
久しぶり過ぎて上手く出来るか自信ない。
不感症とかなってたりしないかな…?
萎えさせたらどうしよう。
不安ばかりが先立ってその気になれない。
完全にセカンドバージンだ。
このキスでも特に濡れてる様子はない。
やっぱり不感症…!?
春樹さんはすでに火照ってる。
熱い目をしてる。
私、誘われてるんだよね…?
いい歳して躊躇って……
焦らすって聞こえは良いけど
やり過ぎるとしらけてしまう。
大人のキスに酔いしれてはいるけどその先に進みたいかと聞かれたら疑問。
男女の仲になるのが怖い。
え、キスまでしておいて…?
自分に呆れる。
そっと額を寄せてきた。
「まだみたいだね……これ以上はやめておくよ」
潔く引くのも大人の嗜み…とばかりに出来た男。
大事にされているのが伝わってくる。
髪を撫でられいつもの顔に戻っていた。
この人なら…と酔った勢いで離婚理由を話したこともあった。
ずっと手を握られ「辛かったな」と涙目になっていた。
あんな別れ方しなければすぐにでも春樹さんと一線を越えていたかも知れない。
恋愛に懲りたわけではない。
また誰かを一生懸命愛したいって思う。
それが春樹さんだったらいいのになって頭では思うのに身体が追いついてこない。
キスから先に進めない。
唇が触れても……嫌じゃないのに。
でも違う…って思うのは何故?
どこかで求めてる……疼くような何か。
身体の芯から熱くなる何か。
それが何なのか知っているから厄介なんだ。
建前では元旦那に襲われかけたことを挙げているが本音はそうじゃない。
最低だけど、ただあの人が忘れられないだけ。
あのキスが………
あの身体が………
あのセックスが忘れられない………
思った以上に爪痕を残して、縛り付けられている。
かなり毒が回っていたみたい。
あの人以外受け付けなくなってるじゃない。
手放したこと見事に後悔させられてる。