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不埒に淫らで背徳な恋

第10章 【不埒に淫らで背徳な愛なら許されるのでしょうか?】





「え、どんな顔したのか忘れちゃった」




「最高だったよ……めちゃくちゃにしたくなった……」




「え〜じゃあまた頑張ってその顔しよっかな?思い出さなきゃ」




フフフ…と笑う。
また真顔になって唇を重ねたら深く絡ませてきた。




躍起になってくれるのは嬉しい。
試行錯誤を重ねて実際に触れて私の身体を知り尽くしてもらう手もあるだろう。




「一緒にシャワー浴びよ?」




そう言ってまた唇を重ね合わせる。




ありがとう、そう思ってくれて。
何も感じずただひたすら自分の欲望を満たすだけの行為で終わってしまう人じゃなくて良かった。




愛されてるって感じるよ。




同じバスタブに入って他愛もない話で笑い合う。
こんな幸せな時間が続けばいいなってちょっと思う。




「のぼせちゃうよ…」




湯船に浸かりながら繰り返すキス。




「瑠香が好きで堪んないよ」




甘い声がバスルームに響く。




「ん……」




もう何度目かわからないキス。
愛を囁かれるたびに胸の奥がズキッと痛む。
騙してはいないけど騙しているような感覚。




私たちの付き合いは結婚を前提としたところから始まった。
それを了承して恋人になったのも紛れもない自分自身だ。




お互いを見極める期間だ…と口にしたのは心理戦でも何でもない。
実際に契約など交わしていないし、恋人であっても心変わりは当然あるものだと私は捉えている。




彼はそうじゃないのかも知れない。
それなりに愛してはくれるけど支配したいんだと思う。
自分のモノにして横に置いておきたい。
とにかく手に入れたい一心だ。




だからちょっとのことですぐムキになる。
抑えきれなくなっている。
こうして繋がりを求めてくる。




一度身体を許せばズルズルとしちゃうけど、心が追いついてなければ…もしくは追い越してばかりならそれは虚しさに変わる。




日に日に濃くなるのはたったひとつの感情。




きっと、いやきっと。
私と春樹さんでは超えられない壁がある。
擦り合わない部分。
求めている幸せには辿り着けない。




それが見極める期間だったの。








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