
不埒に淫らで背徳な恋
第10章 【不埒に淫らで背徳な愛なら許されるのでしょうか?】
「おはよう」
恋人になってすぐ用意しておいた春樹さん専用のパジャマ姿でボーッとしたままリビングのドア付近からこっちに声を掛けてきた朝。
「おはようございます、小山社長」
キッチンに立ち朝食の準備に取り掛かっている私はもう出社準備も整っている状態で爽やかな笑顔を向けた。
「え、何それ……全部反則なんだけど」
ちょうどハムエッグが出来たところでお皿に盛り付けしている私の背後に来たらやっぱり抱き締めてくる。
反則…なのはこのエプロン姿なのかな。
しかも今日は緩く巻いたポニーテールヘア。
うなじにキスされるのも想定内。
トーストをセットして顔を洗うよう促した。
珈琲を淹れ終えたところで席に戻って来た社長。
「準備出来ましたよ」
そっと朝刊を手渡す。
「え、なに?もう仕事モードなの?」
「秘書の方が8時にお迎えに来られるんでしょ?早く食べないと」
時刻は7時。
今日は何としてでも早起きしてこうして出迎えたかった。
朝のエッチが出来なくて少々拗ね気味の横顔ですが。
「まぁ、エプロン姿可愛かったから許す…」
「ヤッタ」
ニッコリ微笑むと負けた…とばかりにトーストを噛じった。
その後スーツに着替えた社長はやっぱり格好良い。
ネクタイを結んであげたら当然キスされる展開だけど。
「こんな朝も良いな」
結婚したらきっとこんな朝だろうね。
想像してニヤけてる。
時間通りに秘書が迎えに来てお見送りする。
ようやくここで仕事モードの顔つきだ。
あんなキリッとしていて格好良いんだからモテるだろうに。
いや、あらゆる噂は聞いていたんだった。
その頃私の方が全く興味なかっただけで聞き流してたんだっけ。
今はそういうの聞かなくなったけど…って当たり前か。
私た付き合ってるんだもんね。
もし何かが発覚したら諸とも崩れるだろうな。
浮気相手が居たとしたら……もしくは私が浮気相手だったとしたら、どちらにしろ潔く身を引く。
まだそれくらいの気持ちしかない。
それは失礼に当たるのかな。
