不埒に淫らで背徳な恋
第12章 【エピローグ】
「欲しいの……ダメかな?」
「それって……」
「私も初めての感情で驚いてる……でも欲しい……快くんの遺伝子、ここに宿したい」
言ったら言ったで猛烈に恥ずかしい。
目見れない。
引いた?引いたよね?
拒絶されたらどうしよう。
愛おしくて初めて思った。
快くんの子種が欲しい。
産みたい。
憧れや羨望からじゃなく本能的に。
「ごめん、忘れて……って泣いてる!?」
ポタポタとシーツに零れ落ちた音で気付いた。
肩を震わせ静かに泣いている。
「瑠香さんが……僕を選んでくれたんですね?それが嬉しくて」
え、この期に及んでまだセフレだと?
好きって言ったよ!?
愛してるって確認し合ったよね!?
「いつも誰かのものでした……ずっと」
「嗚呼……それはごめんなさい」
「だから今度こそは慎重にいこうって……嫌われないように…見捨てられないように」
ティッシュケースを取り拭いてあげる。
鼻水まで垂れてるよ?バカね。
そんなに不安だったの?
「だって付き合おうって言われてないから……うわーん!」
ウソでしょ!?
言わなくても付き合ってるもんだと思ってたわよ!
「何度かゴム着けなかったじゃない、デキたらどうしようとか考えなかったわけ?何も考えず私が許してたとでも!?」
「うぅ……デキてたらいいなって思ってました」
残念ながら生理は来たし妊娠には至らなかった。
危険日は避けてたしピル飲んでたし。
でも最近は飲むのをやめた。
欲しくなったから。
「その、デキてたら…じゃなくて、欲しいんだけど…快くんの」
嗚呼、何言ってるんだろう。
この感情に名前があるのなら教えてほしい。
私、だいぶ恥ずかしい。
だいぶキテる。
「嬉しいです」
泣きながら大好きな笑顔を見せてくれた。
ちょっとこんな姿なのは想定外で申し訳ないんだけど。
向かい合って抱き締める。
幸せは女が与えてもらえるものだと思ってた。
与えられて初めて応えてあげるものだと。
何か、勘違いしてたみたい。
「ねぇ、快くん……私が幸せにしてあげる」
「え…?」
「いいよね?」