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不埒に淫らで背徳な恋

第12章 【エピローグ】





「そっか、無理だけは…」




「わかってるよ、ちゃんと約束は守るからね?」




心配性なくせに娘からのリクエストだったテーマパークは快くんも張り切ってるんだもん。
邪魔しないようにするからデート楽しんできて。




ベンチに座る私の元へ二人して戻って来て。
快くんは娘を抱っこしたまま私の髪を撫でてきた。
そしたら小さな手も伸びて来て一緒に撫でてくれる。




「ママ、いいこいいこ」




「アハ、ありがとう」




「じゃ、ちょっと行ってくる」




「うん、パパの言うことちゃんと聞いてね?」




「ハーイ、おねえたんになるからちゃんときけるよ」




「うん、エライエライ」




そう、実は二人目がお腹の中に居る。
安定期も過ぎてやっと外に出れた日のことだった。
はしゃぐ父娘の後ろ姿を遠目に見ながら微笑んでいた。




飲み物でも買ってこようかと立ち上がり歩いていたら。




目の前から歩いてくる親子連れ。
何の変わりもない普通の光景だったのに。




一瞬で私の脚は竦んでしまった。
動け…なくなってしまっていた。




何なんだろう、この気持ちは。
どう説明したらいいんだろうか。




パパとママが居て…真ん中に小さな男の子。
しっかり手を繋いで歩いてる。
近付くにつれパパであろう人と視線が重なった。




あ……やっぱりそうだ。




一瞬だけ時間が止まったような気がした。
まるで二人だけがわかる空気。
会話なんてあるはずがない。
けどちゃんと話せた気もする。




お互いがよく理解して出せたもの。




すれ違いざまにふと微笑むことも出来た。
それが答えだよ。




胸が熱くなるよ、きっと嬉しいんだ。
本当はちょっとだけ心に引っかかっていた。
良かった……素敵な人に巡り会えたみたいだね。




ねぇ、稜ちゃん。




幸せ…?
私とでは歩けなかった道、ちゃんと歩けてたね。
それが凄く嬉しいよ。
月日が経ってまたこうして会えたことに感謝してる。




男の子……可愛かった。
その幸せ、手放さないでね。




私の膨らんだお腹も見ただろう。
あれから幸せになったよ。
お互い違う人を選んだけど、あの時の気持ちに嘘はないからこそ今心から祝福出来るんだよ。




ありがとう、稜ちゃん。
どうか、幸せに。

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