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不埒に淫らで背徳な恋

第3章 【破滅的な愛でしょうか?】





誰にも見られないように下で指を絡ませる。
恥ずかしいから目は合わせない。




「今の瑠香さん……ズルいです」




「勤務中は呼ばないで」




「はい……すみません」





今の、冷た過ぎたかな…?
顔が綻んでしまうから気を引き締めたの。
調子に乗り過ぎました……って猛省してる。
初っ端からテンション下げさせてどうするのよ……私。




「そんな顔しないで……快くん」




言ってしまった……顔見れない。
恥ずかしいから手探りでシートベルトを差そうとしても上手くいかず。
そっと手が重なり差してくれた。




「耳まで真っ赤ですよ?」




「知ってる……もう呼ばないからね?勤務中は控えて」




「わかりました」




嬉しそうに微笑まないでよ。
自分に鞭打ってるのにこっちも力抜けちゃう。
静かに走り出した車内でフッと笑い合った。




ほんの些細なやり取りが指揮を高めてくれる。
必要な存在なんだと改めて認識させられて……あれ?
もしかして私、なんだかんだ言って振り回されてる……?




上司の威厳ないじゃん……!もう……!




ま、最初からないか。




初めてキミと目が合って、あの笑顔を見た瞬間からきっと射抜かれていた。
あの時から私はキミに弱い………
だからこそ心を鬼にしてバレないように努めなければ。




10秒だけ…と繫ぐ方の手には指輪が光ってる。
触れないようにしてくれてるのもわかる。
指を絡めるけど……どこかで歯止めをかけないとすぐにでも外されてしまいそうだ。





二人きりだからと暴走されても困るから。




なんて、カッコつけ過ぎかな。






社内では特に気を付けている。
皆と同じように扱うし特別視は絶対しない。
本当に僕たちは一線を越えましたか?って思わせてしまうほど。




何度も定時で帰るし帰らせている。




あの過ちの日から三週間ほど経った。
今日は先方の都合で7時以降にメールを受け取ることになっている。
次の新しい商品のモニター結果と改善案についてだ。




別に家で受け取ればいいだけのことなんだけど……帰りたくないのが本音。
あれから稜ちゃんともしていない。
避け続けている。




そっとカバンから出した封筒。
一枚の紙切れ。








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