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不埒に淫らで背徳な恋

第3章 【破滅的な愛でしょうか?】





この前会社帰りに寄ったレディースクリニック。
以前受けたブライダルチェックの結果だ。




全く異常はなかった。
健康的でその気になればいつでも妊娠出来ると太鼓判を押されたくらい。
安心したようでどこか不安も覚えた。
完全に避妊しなければ出来てしまう。




稜ちゃんは子供が欲しいはず。
でも私はその未来を叶えてやれない。
その未来に私は居ない。




検査結果がわかっても気持ちに変化はなかった。
むしろ苦しい……
受ける前はこの結果を義理母に突きつけたいくらいだったのに。




もし今突きつけたらこっちに来てまで色々と世話されそうだ。
そんなの耐えられない。
反吐が出そう。
本当そっとしておいて欲しい。




稜ちゃんにも言わない。
私の身体のことも子供の話も出したくない。
ずっとずっと……タブーな話題にしておくつもり。




でも、このままで良いとも思わなくて。




子供は………そりゃいつかは欲しい。
女に生まれたからには母親になりたい気持ちはある。
私ももうアラサーだ。
悠長なことは言ってられないのも事実。




けど………稜ちゃんじゃない。




本当、最低なこと思ってる。
ずっと一緒に居ると思っていたの。
居心地も良かった……必要だった。
支えられてきた……支えたかった。
愛してた……愛してるつもりだった。




今も家で待ってくれている。
それが辛い……




何様のつもり……?
私は稜ちゃんに何も返せてない。
二人で幸せになると誓った証の指輪も……二度外した。
裏切った。




痛む心はどこにいったの……?
こんな時でも別の人を思い浮かべてる。
今度はいつ外してくれるんだろう?って考えてる私が居る。
いつか天罰が下る…と知りながら、もう後戻り出来ないところまで来てる。




静かな夜のオフィスの扉が開く。




「あ、すみません…もう終わります」と立ち上がる私は警備の人が来たんだと思い込んでいた。
どこかのカフェでメールチェックすればいいか…って。




コツコツと音を鳴らして入って来る革靴。
細身のスーツに背負ったリュック。
ゆっくり見上げる姿はまさに今思い浮かべてた人。








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