不埒に淫らで背徳な恋
第4章 【許されぬ略奪でしょうか?】
こんなこと言われたら今すぐにでも会いに行きたくなる。
離れていても支配されてる。
離れているからこそ強く想うんだろう。
自然とお酒は控えちゃう。
でも全然飲んでない風に見えちゃダメだから適度に。
お馴染みメンバーだから気心知れてるけど、申し訳ないほど心ここに在らず…だ。
時計も気にしてしまう。
「この後恋人にでも会うんですか〜?」
「えっ!?」
本社勤務の開発チームの男の人が隣に来てお酌される。
しかも顔や態度に出てしまっていたか、鋭いところを突かれた。
「指輪、彼氏でしょう?」
嗚呼、そうか。
こっちの人たちは私が結婚してることは知らない。
知ってるのは上層部の人だけ。
ていうか今まで言う機会もなかったし。
「あ〜いや、これは…」
「お願いだからまだ結婚しないでね?」
「はい!?」
「だって畠中さんは俺らのアイドルだから!!」
あ、コレ完全に酔ってらっしゃるな。
イェーイ!とか言いながら皆でまた乾杯してる。
いつもこうなるから上手くスルーしてきたんだった。
だから笑って誤魔化して適当に切り抜ける。
女性も何人かいて一緒の席に座ってるけど私1人東京組だから色々と質問攻めにあう。
「彼氏ってまだこの前聞いた彼氏?」ってこっちもそれ信じちゃってるからどうしようかなって。
きっと稜ちゃんと上手くいってたらここでちゃんとご報告出来るだろうに。
子供の有無で悩んでなければ………
仮面夫婦なんかじゃなければコレは結婚指輪だって言えたのかも。
私ってとことんズルいね。
人妻なのに隠してるんだもん。
隠す必要なんてないのに。
「畠中さんもこの後二次会行くでしょ?」
「あ、いえ、急ぎの別件がありますのでこれで……すみません」
「えー!そうなの?久しぶりに会えたのにー!」
「本当すみません!ホテル戻って仕事します」
「かと言って男連れ込んじゃうんじゃないの〜?」
「何言ってるんですか、もう」
これだから酔っ払いは。
今のセクハラですよ!って他の女の子たちに連れて行かれた。
逃してくれたみたいでありがとうございました。
さて、このまま戻ってシャワー浴びたらあの声聴きたいな。