不埒に淫らで背徳な恋
第4章 【許されぬ略奪でしょうか?】
そうだ、ビデオ通話してみよう…!
そう思い立って顔が綻んだ。
軽い足取りでホテルに戻ろうとしたのに。
突然鳴り出す着信音。
足止めを食らう。
まだまだ明るく騒がしい繁華街。
街のネオンが所狭しと光ってる。
ちょうど信号も赤になり横断歩道の手前に居る。
通話ボタンを押して電話に出た。
__もしもし……私からの電話、待てなかったの?
__すみません
本日二度目の電話。
愛しい声が鼓膜をくすぐる。
早く聴きたくてウズウズしてたのはこっちなのに。
タイミング良すぎでしょ。
__瑠香さん、今…外ですよね?1人ですか?
__うん、そうだよ?二次会断って今からホテル戻るとこ
__大丈夫ですか?飲み過ぎてませんか?
__大丈夫だよ、全然酔ってない
__酔ってる人、皆そう言います
__アハハ…!快くん正解…!
__そんなほろ酔いで危ないじゃないですか……女性の夜の1人歩きは危険です
__じゃ…ホテルまで電話してて
__電話が歯がゆいです……本当は会いたい……会って…抱き締めたいです
言葉に詰まる。
ヤダ……泣きそう。
快くんの声だけを拾って鼻がツンとする。
簡単に会いたいって言わないでよ。
こっちがどんな想いして来てるかわかってないでしょ。
今は一段と離れてるのに。
__瑠香さんが居なくて寂しいです……声だけじゃ辛い……
溢れる涙を拭った。
泣いてるのバレちゃダメ。
余計苦しくなる。
弱ってる快くんを奮い立たせてあげなきゃ。
同じ気持ちだからこそ強くなれるんだもん。
__あのね、私酔ってるの!そういうこと言うと酔いが回るからやめて。明日、会いに行くから……
__我慢出来ません……
__ちょっと佐野くん…!
呼び方を戻して距離を置いたはずなのに全部逆効果で……目の前の影が視線を奪う。
「え………な、んで?」
耳に当てたままの携帯。
受話器から聴こえる声と前から聴こえる声が重なる。