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社長と私

第3章 最後にもう一度だけ

喫茶店にはすでに社長の車があった

社長は運転席から私に微笑みかけた

「さっ、乗って」

「…はい」

胸の高鳴りが痛い

社長はご機嫌で歌を歌いながら車を出発させた

「今日はね…最後だから…少し走らすからね」

「…はい」

しばらく走っていると海が見えてきた、水面がキラキラと光って眩しい、普通ならはしゃいでもいい場面なのに、私はひどく困惑した

なぜならこの海は私と夫が初めて旅行した海なのだ…

私たちは海から打ち上げられる花火を見たくて、近くの宿に宿泊した

しかし、私はこの旅行の話を社長にしただろうか…

たまたまここにしたのだと私は自分を納得させた


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