不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第3章 始まる新生活
「まぁこれからは今までより近くなったし、いつでも手伝いに来るから!」
「うん、ありがとう(笑)今日はここまでだね」
車に乗り込み、アンナのアパートへ向かう。
…昔、まだフミと仲が良かった頃、雨が降るとフミが怒っているのだとふざけて笑い合ったことがあった。雨男だから。
フミ…今なにを思ってる?
まだ降り止まない雨は、何も答えてはくれない。
結婚してもなお、彼のことはなにひとつ知れなかった気がする。
引越したアパートからは車で20分ほどの距離となったアンナのアパートに到着した。
私たちは交代でシャワーを浴び、出かける支度をする。
約束の18時が近づくと瀬川くんから着信があり、私たちは外へ出た。
「やっぱり雨、やまないね」
瀬川くんの車に乗り込み、走り出す。
「瀬川くん、お邪魔してごめんね?ミライがどうしてもって言うから(笑)」
「ふふっ…そうそう、私が強引にね(笑)」
冗談を言って笑う私たちを見て、瀬川くんも「お気になさらず」と微笑んだ。
カジュアルなイタリアンのお店に行くことになり、駐車場に着くと私たちはひとつの傘にむりやり3人で入って歩き、きゃあきゃあと店内へ入った。
マルゲリータピザや海老のアヒージョにワインを注文した。
「じゃあ…ミライの新生活に」
アンナの言葉で3つのグラスがそっとぶつかり、それぞれ赤ワインを口に含んだ。
「それで、引越しはだいぶ終わったの?」
「ううん、荷物は明日届くの。ガスの立ち会いはあさって。でも今日、アンナと棚を組み立てたんだよ(笑)」
「ほー、それで…ちゃんと出来た?」
瀬川くんの言葉に私とアンナは目を合わせてプッと笑った。
「それが、もう全然わけわかんなくて。ね、ミライ!」
「うん。多分、半分も終わってない…かも…(笑)」
瀬川くんはケラケラ笑い、「明日実家から電動ドライバー持っていくわ」と言った。
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お酒も進み、みんなほろ酔いになった頃、話題はアンナの恋バナになった。
「別に肩持つわけではないけど、話ぐらい聞いてやってもいいかもな」
アンナの元カレくんについて、瀬川くんが言った。