ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第82章 傑と悟
「ひなちゃん、少しチクっとするよー。」
ベッドに寝かされたら、聴診されて血圧も測られて、さっそく採血も。
グスン…
「ひなちゃん?どうしたの、痛い?」
フリフリフリ…
藤堂先生がしてくれる注射が痛いはずない。
採血して貧血の数値を見るんだなと、そして絶対悪くなってると、自分でもうわかってるから、嫌になって涙が出てきちゃう。
「もう終わるからね、ちょっと待ってね。」
と言い終わる時には、もう針を抜いて止血してくれた。
そして、空いた片手で耳へと伝う涙をすくってくれる。
「泣かなくて大丈夫だよ。目眩すぐ落ち着くからね。」
「グスン、グスン…藤堂先生……わたし、また貧血が悪くなってるんです…。少し前からしんどくて、食欲も無かったんです…ヒック、ヒック」
「うん、そっかそっか。だけど、大学休みたくなくて頑張っちゃったか。」
コクッ…
「でも頑張ったらこうなっちゃって…数値、どうせ絶対下がってます…。まだ大学始まったばっかりなのに……グスン、グスン…こんなんじゃ卒業できないかもしれない…どうしようっ…ヒック、ヒック、グスン、ヒック」
「ひなちゃんひなちゃん。大丈夫だから一旦深呼吸しようか。ほら、一緒に呼吸整えよう。」
大学は甘くない。
ましてや医大生なんて、とんでもなく大変なことは覚悟してた。
だから、大学では体調崩さず頑張ろうって、病院なんて行かないぞって決めてたのに、やっぱりわたしはダメだった。