ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第82章 傑と悟
「グスン…グスン……ヒック、うぅ…グスン」
「今から卒業できないなんて、そんな心配しなくて大丈夫。大学は講義も90分になるし、専門的な内容で頭も使うし、今までとは全然違うでしょ?慣れてなくて、少し疲れが出ちゃっただけだから。」
「でも、倒れるなんてわたしだけです…。みんなは寝れば次の日元気なのに、わたしは酷くなるばっかりで。身体が弱すぎるんです…グスン」
「そんなことないよ。周りの子と比べないで、これまでのひなちゃんと比べてごらん。随分丈夫になってるよ。ほら、今日だって熱も喘息も出てないでしょ、ね?この土日しっかり休めばよくなるから、そんなネガティブにならないで。」
「今日、わたし入院ですか…?グスン」
「ううん。今日は入院させるつもりないよ。点滴終わったら帰っていいからね。ただ、ひなちゃんも言ってくれたように、貧血の数値はまた下がってると思う。だから、ひなちゃんが毎日元気に大学へ通うにはどうしたらいいか、後で検査結果見ながら一緒に考えようか。」
「はい…」
「うん。そしたら、まずは点滴終わるまでここで少し休もうね。」
そう言いながらタオルケットを掛けてくれる藤堂先生は、いつの間にか点滴を入れてくれている。
気づかないうちにしてくれるなんて、さすがだな。
わたしもこんな先生に、なりたいな…。
なんて思いながら、わたしは少しの間、目を閉じた。