
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第83章 王子か鬼か
「ぁ…!か、返して…!!」
手を伸ばしてみるけど、ひょいっとノートを上に上げられてしまう。
「ちょっと!!何するのやめてよ!!大事なノートなんだから取らないでっ!!」
「ひなちゃん!!」
ビクッ!!
藤堂先生に取り上げられたノートを取り返そうと、今度は藤堂先生の白衣を掴んで手を伸ばしたら、思いっきり雷を落とされた。
「もうテスト受けるのやめな。今日から1週間部屋から出さない。」
「ぇ…」
そう言いながら、テキパキと聴診だけして、
「祥子ちゃん。点滴は昨日と同じもので、枕冷たいのに変えてあげて。それと、8度5分超えるようなら頓服飲ませてくれる?」
「はい、わかりました。」
「お願いね。」
と指示を出して部屋を出ようとするので、
「と、藤堂先生…?」
慌てて背中に声をかけるけど、藤堂先生は振り向くことなく部屋を出て行ってしまった。
