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ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第83章 王子か鬼か

-ひなのside-




_____1週間後




「ケホッ………ケホケホ……」



「ひなちゃん、深呼吸してね。」




藤堂先生が雷を落としてから1週間、わたしは本当に病室から出してもらえなかった。

というより、発作も熱もなかなか落ち着かなくて出ることができなかった。

熱は下がったけど、まだ咳と軽い発作が出てしまう。

聴診する藤堂先生も安心できるような顔はしてない。




「うん、いいよ。少しマシにはなったけど、まだ胸の音が気になるから今日も安静にしててね。」



「………。」




いつもの優しい王子様なんだけど、ノートを取り上げられて怒られて、熱と発作で注射も座薬も嫌なこといっぱいされて、テストは全科目受けられずに夏休み突入。

たぶん、初めて藤堂先生が嫌いになった。




「…そしたら、またお昼に来るからね。寝ちゃって大丈夫だから、ゆっくり休むんだよ。何かあったらすぐ呼んで。」




ぽんぽん…



…っ。



無視して黙ってたら、去り際に頭をぽんぽんされた。

嫌いだけど、優しく包み込んでくれる藤堂先生の声と笑顔と匂いと…というか、藤堂先生の全てにまんまとやられる。

嫌いだけど、藤堂先生なんて嫌いだけど…



……はぁ、もう。



もっとブスで意地悪な主治医だったら遠慮なく嫌いになるのに、王子様なのは本当ずるい…


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