ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第84章 トラウマの火種
「はい。ひなちゃんお疲れ様。」
吸入終わりは相変わらずどっと疲れる。
なんなら、中学生の頃なんかより疲れがひどくなった気も。
「ひなちゃんはもう少し吸入上手になるといいんだけどな。吸入ってそんなに苦しくて疲れるものじゃないはずだけど…」
それはどうも、下手で悪かったですね!
まったく、藤堂先生は王子かと思えば鬼になって、また王子になって、鬼になって…
昔に比べたら鬼になる頻度が高くなった気がするし、お願いだから王子様でいてくれないかな。
なんて思いながら藤堂先生と病室に戻ってきたら、軽く聴診だけしてもらい、
「胸の音はかなり落ち着いてきたね。発作も減ってるし、楽になってきたんじゃない?」
「はい。そろそろ退院できますか?」
「うーん、それはまだかな。ひなちゃん、体重2kg落ちたの全然戻らないし。」
うぅっ…
ほらまた鬼だ。
すぐ鬼の仮面被っちゃうんだから…。
「頑張って食べてるのに増えないんです…」
と話してると、
コンコンコン___
『ひなのー!』
傑と夏樹がやって来た。