ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第11章 物知らず
「いいか?こういう錠剤やカプセルになってる薬は噛まずにそのまま飲み込むんだ。胃で溶けて身体に効くようになってるから、水と一緒にそのまま飲み込む。わかったか?」
そうなんだ。なんにも知らなかった…。
きっと、そんなの当たり前のことなんだね。
わたしがいろんなこと知らなさ過ぎるんだ…
「ごめんなさい…。」
「知らなかったんだから謝らなくていい。ひとつずつ覚えればいいんだ。」
と言って、今度は五条先生が新しい薬を手のひらに出してくれた。
そして、口に入れて水をゴクッと飲む。
でも、あれ?飲み込めない…。
「飲めたか?」
「……。」
「飲めてないな。もう1回、水を口に入れて薬と一緒にごっくんするんだ。」
…ゴクン
ダメだ、飲めない…。
どうしても薬だけが口に残っちゃう。
なんで…?
その後も何度も水を飲んだ。
でも、何回やっても薬だけが口に残って、そのうち苦くなってまた吐き出した。
五条先生に怒られると思ったけど怒られはしなかった。
そして、もう30分以上経っても飲めなくて、今回は飲まなくていいことになった。
咳き込んだので念のためと聴診をしてから、五条先生もまこちゃんも部屋を出て行った。