ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第84章 トラウマの火種
2人と別れて病室に戻ってから、夏樹に言われたことが頭の中で繰り返される。
あの後、夏樹は自分の思うことをちゃんと話して伝えてくれた。
わたしも、なぜノワールへ来たのか、五条先生と暮らすまでになったのか、昔のことを傑に全部話せた。
"恋人らしいことしたいんじゃない?"
"五条先生、ずっと待ってるんだと思う。"
五条先生と、恋人のはずなのにな…
わたし、五条先生のこと好きなのに…
夏樹の話を聞いて、傷付いたり落ち込んだりしてるわけではない。
むしろ、夏樹が言ってくれなきゃ気づかなかったと思う。
だけど、気づいてしまったからには考えちゃう。
わたし、どうして五条先生に触れようとしてこなかったんだろうって。
"殻破って、五条先生に飛び込んでみたら?"
殻を破る…って、どうしたらいいんだろう。