ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第84章 トラウマの火種
コンコンコン___
「ひな〜。」
あの後、医局に戻ってからもカフェでのひなが少し気になってたんで、仕事がひと段落したところでひなの病室に。
ちょうど夕食の最中だったので、俺はベッド横の丸椅子に腰掛けた。
…が、何かおかしい。
ひなは俺に気づいてないのか全く反応しない。
「ひな?」
真横から声を掛けるが、ひなはぼーっとしながら口をモグモグさせてる。
…ゲージの中で草食ってるうさぎか?
いや、うさぎでももうちょっと反応するよな…
と思いながら、
「おい、ひな??」
ひなの顔の前で手を振ってみると、ビクッとしてようやく俺に気づいた。
けれど俺の顔を見るなり、目を見開いて固まってる。
「…大丈夫か?そんな驚くほどぼーっとして。」
と言うと、
「………大丈夫…です。」
そう呟いたひなの目はみるみる曇っていく。