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ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第84章 トラウマの火種

-ひなのside-




藤堂「ひなちゃん、大丈夫?」



「…え?」




夜、吸入を終えて部屋に戻るなり、藤堂先生がわたしの顔を覗き込む。




藤堂「どうしたの、ぼーっとして。さっきの吸入で全然咳き込まなかったけど、平気だったの?」



「…大丈夫だったみたいです。」



藤堂「それならいいんだけど…。祥子ちゃんもびっくりしてたんだよ?夕食の後、ひなちゃんが久しぶりにご飯残したかと思えば、薬を突然ゼリー無しで飲んだって。」




吸入前、夕食後に祥子さんが薬を持ってきてくれたんだけど、テーブルに置いてもらった薬をわたしは何も考えず口へ運び、そのままお水でゴクンと。

「え…?ひなちゃん今お薬飲んだわよね!?ゼリーは??」

とゼリーを手にする祥子さんを見て、わたしはそのことに気づいた。




「あ…、はい。なんかゼリーのこと忘れてて、お水だけで飲んじゃって。ゼリー無しで飲めるようになったみたいです。」



藤堂「薬飲むのにゼリーのこと忘れてた?どうして急に…」




確かに、どうしてだろう。

というか、薬を飲んだという記憶も正直なくて、なんならご飯を食べた記憶すらもない。

気づいたら目の前にご飯があって、気づいたら少し減ってて、気づいたら祥子さんが来て、気づいたら薬を飲んでたの…


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