
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第85章 初めの一歩
「わたし、恋人失格です…。五条先生の彼女だなんて、わたしにそんな資格ないです…」
「は?何言ってんだ、ひなは俺の彼女だろ。どうしてそんなこと言うんだよ…。」
五条先生のため息混じりな声は、どこか悲しくて、切なくて、苦しそう。
「わたしは何もできないから。手を繋いだりハグしたり、彼女なのにできないんです。」
「できないもなにも、手なら今繋いでるだろ。」
そう言いながら手をギュッとされると、わたしの胸もギュッと…
「繋いでるんじゃなくて握ってもらってるの。こうして手を繋いでくれるのはいつも五条先生からで、頭を撫でてくれるのも抱きしめてくれるのも全部五条先生。夏樹と傑に言われました、自分から手繋いだことある?って。そんなのないですよね。ないんです…」
と言うと、
「ひなはそれじゃ嫌なのか?」
「ぇっ?」
「別にどっちからなんて関係ない。俺が繋ぎたいから繋ぐ。ひなのこと抱きしめたいから抱きしめる。それじゃダメか?」
ぎゅっ…
五条先生はわたしをそっと腕の中へ。
