
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第85章 初めの一歩
「ひなは俺が初恋なんだ。人に対して臆病な時期もあった。だから触れたくても触れられないなんて、そんなこと気にしなくていい。何も焦らなくていいんだぞ。」
「でも…グスン」
「それに恋愛なんて人それぞれだろ。普通はどうとか、そんなもん最初からない。ひなと俺と、2人のペースで前に進めばいいんだ。ほら、今日から毎晩同じベッドになっただろ?こうして少しずつ、ひなの言う恋人らしいこと出来るようにしていこう。な?今日はその初めの一歩。」
ぽんぽん…
「…でも、本当にそれでいいの…?五条先生はわたしに合わせて我慢してるんじゃ…。」
「も〜、ひな笑。さっきからでもでもって、そのでもは何回言えば気が済むんだ。夏樹や傑に言われたことはすぐ信じるくせに、俺の言うとこはそんなに信用ないのか?笑」
「ち、違う…、そうじゃないけど…」
「そんな不安にも心配にもならなくて大丈夫。俺は我慢してるんじゃなくて、ひなを大事にしてるだけ。ひなのことは本当に大事にしたい、大好きだから。」
ぎゅっ…
「五条先生…///」
「…ん。よし、もう大丈夫だな。そしたら寝るぞ。おやすみ、ひな。」
「お、おやすみなさい…///」
こうして、わたしの長い長い、長かった夏は、五条先生の腕の中で幕を閉じた。
