ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第93章 誕生日の温泉旅行
「おっと…!おい、ひな走るな。したいことしろとは言ったけど走るのはダメだ。急にどうした?」
「……。」
「ひな?」
「わたしの五条先生だもん…。」
そう言って、五条先生の背中に回す手をギュッと握る。
「なぁ、ひなどうした。なんかあったか?」
体を離して顔を覗き込もうとする五条先生にまたギュッとして、
「トイレで女の子たちがかっこいいって。五条先生のことだよ。後で声かけてみる?って言ってた…。」
「は?なに、それで不安になって慌てて出てきたのか?」
コクッ…
と頷いて、ぎゅっと抱きついたまま五条先生を見上げると、
「そんな顔しなくても、俺はひなしか見てないから。ひなもそうだろ?そんなことで不安にならなくて大丈夫だ。」
ぽんぽん…
ってしてくれた五条先生の顔が、わたしだけに見せてくれる優しい笑顔で、胸のムズムズがスーッと消えてなくなった。
すると五条先生が、
「次、足湯行くか。」
「足湯?」
「ひな待ってる間見てたんだよ。ほら、ここに足湯ある。」
と言って、観光マップを指差す。
「行ってみたい!」
「ん、じゃあ行こう。」
ということで、今度は足湯でひと休み。