
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第95章 留学前の惨事
"心マ?お前何言ってんだ…?"
"病院の目の前で事故が…っ!!車が人を跳ねて負傷者が複数います!!!"
事故…
車が跳ねて…
心マ…
ひなが事故に巻き込まれた。
とんでもないことが起きたのだと言う脳みそに、俺はひとまず待ったをかける。
誰かが誰かに心臓マッサージをしてるとすれば、ひなが傑にしてるのかもしれない。
もしくは、あいつら3人は怪我なんてしてなくて、ただ誰かの救助をしてるのかも。
だけど、電話に出た工藤先生は真っ先に俺に目をやった。
傑なら藤堂先生、知らないやつならあんな素振りはそもそもしない。
あぁ、ひななんだ…
信じたくない、違って欲しい。
そう思いたかったのに、ひなじゃないと言える要素がどこにもない。
ひな、逝くなよ…
夏樹、傑……頼むからひなの命繋いどけ…
救命セットを取って、階段を駆け降りて、正面玄関を出て、猛ダッシュ。
ロータリーを抜けて道へ出ると、辺りは騒然としていた。
