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ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第96章 偉大な母



五母「いつも以上に不安定で、気持ちをコントロールしてあげるのが難しいことはわかるわよ?けれど、寄り添ってあげることはできたでしょう。怖かったわねって、一言言って抱きしめた。私がしたのはそれだけよ。事故の後、ひなちゃんの涙見た?あの子の心に寄り添うことが、誰一人、できていなかったんじゃないかしら。」




あの日、血を流して倒れるひなを見た時から、死ぬのだけはやめてくれ…って、俺はそればっかり考えてた。

オペは上手くいったのにひなは全然起きなくて、熱は下がらないし、心臓も止まるし、蘇生しても相変わらず眠ったまま。



ようやくひなの目が覚めた時、俺はあまりにホッとして2時間気を失った。

精神的にダメージを受けながら一睡もしなきゃ、俺も倒れるもんだなって思ってたけど、気が抜けて倒れるほど、ひなの目が覚めたことに満足してしまってたわけだ。

だから、あんなことの後なのに、ひなが一度も涙を流していないことに気づかなかった。



はぁ…何やってんだ俺は……



全部、母さんの言う通り。


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