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ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第96章 偉大な母



その後は、ひなが寝てるうちにと、工藤先生が少し診察をする。




「スー……スー……」




念入りに聴診されても、胸や頭の傷を確認されてもピクリともせず、今朝は二度寝もしてるのに本当によく眠るひな。




五母「ひなちゃん、あまり眠れていないわよ。」




それは俺たちもわかってて、数日間まともに寝ない日が続いた後、1日中眠ってたかと思えば、また数日寝ない日が続く…というのをずっと繰り返してる。

今朝眠そうだったのも、寝れない日が続いた後だったからだろう。




「それはわかってたんだけどな。寝かしつけようと思って夜来ても、目だけ閉じたまま何も喋ってくれなかったから。声をかけるけど反応も無くて。」



五母「そこで感情を引き出してあげられないのがね。まぁでも、次に目が覚めたら話せるようになってると思うわよ。上手く聞いてあげれば、ちゃんと受け答えしてくれると思うわ。」




お袋と会って、たくさん泣いて、食事を取って、ぐっすり眠るひなの顔は、今朝までよりずっと穏やか。

そんなひなを見ていると…




「…母さん。ひなのこと、本当にありがとう。母親ってやっぱり凄いな。俺は医者としても、ひなの恋人としてもまだまだだ…。母さんのこと、本当に尊敬するよ。」




お袋のごはんならどんな時もよく食べるし、お袋の言葉はひなの心を動かすし、お袋の手はひなをすっかり安心させる。

時に医療の力が及ばないことだってお袋の力じゃなんとかなってしまうのだから、母親というのは本当に偉大な存在だ。

でもそれは、ひなだけでなく俺にとっても同じこと。

心の底から思ったことを伝えたら、さっきの親父とは違い、




「頑張りなさいね。」




と、母親の顔して励ましてくれた。


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