ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第97章 大丈夫じゃない2人
「ひな。大丈夫だ、大丈夫大丈夫。」
すぐに背中をさすってやるが、ひなは咳き込みながら涙目に。
「ケホッ…、ケホッ……」
「咳、我慢しなくていいからな。ちょっとお水飲んでみるか?」
言うと頷いたので、テーブルに置いてあるペットボトルを取ろうと片手を伸ばしていると、
「ケホッ…ケホケホケホッ!! ……っ…」
ひなは激しく咳き込み、前屈みになって胸を押さえた。
「ひなっ…」
倒れ込みそうになるひなを咄嗟に抱き止めて、
「胸痛いか?苦しい??」
ひなの顔を覗き込むと、顔を歪めるひなの目にブワッと涙が込み上がり、
「痛いよな。苦しいに決まってるよな。何が何だかわかんなくて、もう全部…、全部苦しくて仕方ないよな。怖かったな、ひな。ごめんな、早くこうしてあげられなくて…」
ひなが壊れるほど強く、けれど、蝶よりも花よりも丁重に、ひなを俺の全てで抱きしめた。