ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第97章 大丈夫じゃない2人
「ひな…」
留学に行けないことはもういい。
止まったはずの涙が頬を伝うけど、悲しいとかつらいとかない。
今の状態はちゃんとわかったし、心破裂したのに生きてるなんて、それだけで奇跡だもん。
仕方のないことなんだって、これがわたしの運命だって、納得できるから。
だけど、
「五条先生は…?」
「ん?」
「アメリカ……もう出発日過ぎてるよ…」
腫れた瞼を持ち上げて、どういうことかと五条先生を見つめる。
すると、五条先生は少し困ったように微笑みながら、わたしの頬を両手で包み、
「俺も、アメリカには行かないことにしたんだ。」
「どうして…」
「ひなを置いては行けない。」
涙を拭うようにわたしの頬を撫でた。