ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第16章 複雑な思い
「ひなの、いいか?俺が合図するから、そしたらサッと階段に行くんだぞ?」
そう言って、夏樹くんはキョロキョロあたりを見回し…
「今だ!」
と走りだしたので、わたしも走って夏樹くんが開けてくれた扉の中に入った。
「ふぅー。上手く来れたな!もう大丈夫だ。上行こう!」
と夏樹くんは階段を登り始め、わたしも後ろをついて行く。
「ハァハァ……ハァハァ……」
屋上までは2、3階分ほど登る。
小児科は最上階のひとつ下なんだけど、非常階段を使うからか、それとも実はまだいろいろあるのか、とにかく屋上までは少し長かった。
久しぶりの運動って感じですぐに息が上がってしまう。
「ハァハァ…ケホッ…」
「ひなの?大丈夫か?あと少しだ。」
「うん。大丈夫。」
と言ってひたすら階段を登る。