ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第98章 胸のざわつき
それから、五条先生に起こしてもらってご飯を食べ、本を読んだり、リハビリがてら廊下を歩いたり。
いつもと変わりなく過ごすけど、胸はずっとザワザワしたまま。
「ひな?気になることあるなら隠さず言ってごらん。ずっと考え事してるだろ。」
五条先生に薄々気づかれてそうだけど、検査や治療になるのはもうごめん。
「何もないです。発作があったので、少し疲れただけです。」
と、胸のことは言わなかった。
けれど、
「……な!ひな!」
「ハッ、ハァッ…ゲホゲホ…!」
「起きろ!息して、息!どうした?怖い夢見たか?」
「ハァハァ、事故の……っ、ゲホゲホッ! ゲッホゲホッ…!!」
夜中に事故の夢を見て、寝ながら発作を起こしたり、日常の音にすごくストレスを感じたり、急に胸がざわついて、不安になったり落ち着かなかったり。
この日を境に、こういったことが毎日繰り返されるようになってしまい、精神科の先生にも診てもらうと、事故によるPTSDだと診断された。