ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第16章 複雑な思い
~屋上~
「…ケホケホ…クシュン」
「ひなの大丈夫か?そろそろ戻るか?」
今は5月。
初夏の日差しが暖かいとは言え、まだ空気は少し冷たくて屋上は風も強い。
薄い病衣1枚では少し寒いけど、久しぶりの外の空気が気持ちいい。
もう少し、ここにいたい…
「大丈夫。もう少しここにいたい。」
「はいよ。」
と言って、夏樹くんも隣に腰掛けた。
「ひなのも退院したいか?」
夏樹くんはわたしの様子がいつもと違うことに気づいてたみたい。
「わかんない。」
「え?退院したいわけじゃないのか?」
「退院してもね、わたしには帰る場所ないんだって…。だから、この先もずっと病院で暮らすんだと思う。」
「どういうことだ…?」
と夏樹くんが言うと、
ガチャッ!!
「ひなー!!」
「夏樹くーん!!」
と声が聞こえた。
「やばっ、誰か来た!!」
と夏樹くんが慌てて立ち上がるけど、この声が誰かなんてすぐにわかる。
五条先生と神崎先生だ…
と思ったらもう目の前に現れてた。