ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第16章 複雑な思い
「おいっ!!」
ビクッ!!
あぁ、また五条先生のこの低い声…
めっちゃ怒ってる…
「なんでこんなとこいるんだバカ!!部屋抜け出し…っ。」
そう言いながら、二の腕を両手でガシッと掴まれたと思ったら、五条先生はハッとした顔をして、白衣を脱いでわたしにかけてくれた。
初めてみたけど、白衣の下は半袖で黒に近い紺色のスクラブを着てた。
五条先生の腕は血管が浮き出ててちゃんと鍛えられてる。
すると、また扉が開いて宇髄先生と工藤先生も来た。
工藤「夏樹!!なにしてんだこのバカ野郎!!」
ビクッ……‼︎
工藤「…………。」
夏樹「…ぇ?に、兄ちゃん叩かないの…?」
え…?
さっき、工藤先生は右手を思いっきり振り上げてた。
絶対夏樹くんの頬っぺたを叩くつもりだった。
だからギュッと目をつぶって頭を抱えた。
でも、なんの音も聞こえて来ない。
恐る恐るを顔を上げてみると、工藤先生はゆっくりと腕を下ろしていた。
工藤「お前をしばくのは後だ…。部屋戻るぞ。」
というと、隣にいた宇髄先生も白衣を脱いで夏樹くんにかけた。
宇髄先生は五条先生よりさらにムキムキ…
「お前も戻るぞ。」
と五条先生に低い声で言われたので、大人しく立ち上がろうとすると
フラッ…
あ、あれ…?
立ち上がりもしてないのにフラッとした…
五条先生に支えられて倒れはしてないけど…
「おい、バカか!!じっとしてろ!!」
と言って、今度はふわっと身体が宙に浮いた。
五条先生にお姫様抱っこされてる。
そのまま部屋に連れて行かれてる間、ずーっとふわふわふわふわしてた。
階段を降りる振動もあまり感じず、なんかずっとふわふわ。