ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第101章 ぶり返す古傷
心臓の傷を見た。
過去の手術跡と、それに並ぶ、くっきりと真新しい手術跡。
数年前に手術をしてから、胸の傷はずっと見ないままだった。
なんとなく傷を見るのが怖くて、なるべく視界に入れないようにしてたから。
それを、ホルター検査が気になって、見ようとしたのが、パンドラの箱。
この胸に刻まれた2つの傷跡が、脳裏に浮かんで離れない。
それだけならまだよかったのに、何度も殴り蹴られてできた痣、突き倒されてできた切り傷、熱湯をかけられた火傷の跡。
もう消えてなくなったはずの過去の傷まで、なぜか全部蘇ってくる。