ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第101章 ぶり返す古傷
あぁ、そっか。
こうやって思い出しちゃうのが嫌で、本能的に傷を見ないようにしてたんだ…。
最初はそう冷静に考えられてもいたけれど、そんな余裕を掻き消すように、どんどんどんどん、つらい日々を思い出し、
ドカッ…ボコッ…
と殴られる音。
「邪魔だこのクズ!死ね!」
と罵られる音。
「アンアン…っ!」
「おら、気持ちいいだろ。気持ちいいって言えよ、んぁ?」
「アンアン…気持ちいいっ!」
布団に潜って息を殺す中、夜な夜な聞こえてくるアレの音。
あの頃わからなかった音の正体も今ならわかる。
そんな記憶を思い出しては、今度はそんな音が耳から離れない。