ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第101章 ぶり返す古傷
ハァハァ…
五条、先生…?
背中に触れる手の感覚と服の匂い。
安心感を覚えるものの、意識がすでにはっきりせず、恐怖心は治まらない。
「いやっ…嫌…ハァハァ、ハァ……ゔっ」
「ひなっ…ひな、大丈夫だ。ゆっくり息してごらん。」
「……めて…ッ、や……め……ハァハァ、って…」
「ひなのこと傷つけに来たんじゃないから。ほら、怖くない。落ち着いて、大丈夫、大丈夫。」
頭を撫でられ、背中をさすられ、手を握られ。
五条先生の声がするけど、あの人の声もする。
わたしに触れるのは五条先生なのか、それとも…
「ハァハァ、もうやめて……ごめんなさい、ごめんなさい……ごめんなさ……ぃ」
「おい、ひな…?こら、しっかりしろ!ひな…!」
結局、過去の記憶に囚われたまま、わたしは意識を飛ばしてしまった。