
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第103章 愛のちから
_____10分後
藤堂「頭ごめんね、少し上げるよ。」
工藤先生と豪先生のエコーが終わって、藤堂先生と祥子さんが氷枕を替えてくれる。
藤堂「冷たいの気持ちいい?さっきは苦しかったね。頑張ったね。」
祥子さんが汗を拭いてくれる逆サイドから、藤堂先生が手を握ってくれる。
ぐったりなわたしは、訳もなく目尻から涙が落ちた。
藤堂「良くなるまで、もう少しだけ頑張ろうね。早くお家帰りたいね。」
………っ。
「……がん、ばれなぃ…」
『え?』
思いが声に出てしまった。
久しぶりに声を聞いたら頑張れないって、先生たちの動きが一瞬止まってる。
一方のわたしは、口が勝手に動いてしまう。
「もう、がんばらなくていい……」
藤堂「ひなちゃん…、どうしたの…。」
藤堂先生の手が手から離れる。
だって…だってもう……
「五条先生、わたしのこと…嫌い……」
藤堂先生の手が頭に乗った。
そして、
ポタ、ポタッ……
わたしの目から涙の粒が落ちた。
