
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第103章 愛のちから
「ひなちゃん、良くならないんだ。りさから聞いてるよね?」
「はい。一応…」
「じゃあ、わかってて会いに行かないわけだ。どうして?」
「それは…」
単刀直入に問う院長。
口調は優しいが向けられる目は厳しい。
「あの子には五条先生が必要だよ。五条先生もわかってるはずだけど?」
ひなには、俺が必要………
「…そうでしょうか。」
院長が眉をピクリと上げる。
俺は俯いて話を続けた。
「ひなに俺が必要なんじゃなくて、俺にひなが必要なんです。夏の事故でひなを失いかけて、そのことを身に染みて感じました。それはひなにも言ったんです。でも、そうしてひなを必要とするのは俺のエゴかなと。ひなの目に、俺はひなを傷つける存在として映っていました。実際、ついカッとなることも多くて、ひなを傷つけています。もう、ひなの隣にいるべきじゃないかと思うんです。」
