
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第103章 愛のちから
俺と院長の間に沈黙が流れる。
そして、院長は肺に吸い込んだ空気を口を一文字に鼻から吐いた。
「じゃあ、どうしてずっとそばにいたの?」
「え?」
「一緒に暮らしたのはたった半年。10年弱も居場所がわからなかった他人の子を、忘れることなく想い続けて、奇跡的に再会したら、自ら世話して引き取って、成人してもそばに居続けてきた。それはどうして?」
「えっ…t」
「ひなちゃんとは今どういう関係なの?」
「……。」
「ただの医者と患者?赤の他人同士?」
「……。」
何も答えることができない俺。
そんな俺に、院長がまた鼻から長いため息をつく。
