ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第106章 すれ違い
「本当?ひなちゃんのこの顔は、悠仁と何かあった時の顔なんだけどなー…」
言いながら、藤堂先生は早速首のリンパを触り、下瞼もチェックして、
「胸の音もね。」
と、聴診も済ませて。
「あれ?祥子さんは…?」
「祥子ちゃん、患者さんのお世話で外来に降りて来られなくて。注射も今日はこのまま僕がするね。」
気づけばわたしはベッドの上で、
「ひなちゃん、いくよー?…うん、もう手の力抜いていいよ。今痛くない?」
「大丈夫です。」
「うん、ありがとう。」
注射の針を腕に刺された。